1巻から6巻と解説と貫名菘翁絶筆・芝以保萬壽付属　7巻8巻は欠あとがき二十年前程の話になるが、 比田井南谷先生に同行して、先年亡くなられた山下是臣先生 大阪、堺市の御自宅にお伺いしたことがある。当時、貫名菘翁の代表的な蒐集家でもあ った山下先生のコレクションを拝見させていただくためである。昭和五十五年に、書学院 出版部から〝比田井南谷編貫名菘翁選集・全十四巻〟が刊行された直後のことであった。 後年、山下コレクションは堺市に寄贈され、現在、堺市博物館に所蔵されている。今回の 出版に於ても、「書状集」「草書集」の中に掲載させていただいている。私は書学院出版部で、〝貫名翁選集〟の編集・制作を手懸け、その刊行後、南谷先生と 続刊について種々相談したことがあった。その後、計画は途絶えてしまったが、私の頭の 中では、一作品ごとを一冊にし、十五冊程のシリーズで続刊第二集の組み立てを考えてい た。私は、各本ごとにコピーを貼り込んだ唐本仕立ての見本を作り、サイズ、ページ数も 決めておいたのであった。そして十数年、その見本が家の書架に乗ったままになっていた。 今回の〝貫名菘翁名品集成〟の企画がもち上がったのは昨年九月のことである。書学院 出版部の〝貫名菘翁選集〟刊行から十九年が経っていた。残念なことに、比田井南谷先生は、昨年十月に亡くなられた。真っ先に御相談をし、 多くの御教示をお願いしたかったのであったが、叶わぬこととなった。幸い御令嬢の比田井 和子さんが、書学院に蔵されているたくさんの翁の資料を、快く御提出くださった。 深 く感謝申し上げる次第である。故江川吟舟先生が所蔵されていた菘翁作品等の遺品は、埼玉県与野市に寄贈され、今年 一月、一般公開の展覧会が開催された。「書状集」にその一部を収載させていただいた。 荒川ふるさと文化館所蔵の菘翁作品は、現在荒川区に住まわれている植村和堂先生が御 寄贈されたものである。その一部を「書状集」に収載させていただいた。解説篇で総論の執筆を田中双鶴先生にお願いしてあったが、今年六月急逝された。先生 の訃報に接し、私はただ呆然とするだけであった。しかしながら御遺族のお計らいで、 総 論の原稿は旧稿から転載させていただくことができた。行書集に収載されている「白玉井銘』は、石橋鯉城先生の御快諾を得て、新規に撮影さ せていただいた。今までに出版された印刷本と違って、原寸で精密に影印することができた貫名海屋没年：文久3.5.6(1863.6.21)生年：安永7.3(1778)江戸後期の儒者書家画家。阿波(徳島県)の生まれ。本姓は吉井。名は苞。字は子善君茂。号は海仙海客林屋海叟摘菘翁菘翁菘叟方竹山人須静主人三緘主人など。通称は政三郎省吾泰次郎。父の名は直好。市河米庵巻菱湖と並ぶ「幕末の三筆」のひとり。書を西宣行 に画を狩野派の矢野典博に習いのち南宗画に転じた。壮年高野山に登り空海の筆跡に心酔し以後各地を遊歴して書画の研鑽に努めた。特に晋・唐の碑法帖の臨模に専念し独自の書風を樹立した。85歳の春ごろに中風を患い翌年にかけての最晩年に中風様と呼ばれる気迫のこもった傑作を残している。(河合仁)出典　朝日日本歴史人物事典：（株）朝日新聞出版中古品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります.。表紙小傷。ページ小黄ばみ。2-3冊ぱらぱらとめくった感じでは、書込み・線引き等見当たりませんが、見落としあればご容赦ください。ご理解の上、ご購入ください。 もちろん読む分には問題ありません。なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。