StanとRでベイズ統計モデリング (Wonderful R 2)近年確率分布を使った数理モデルをデータにあてはめることで現象の理解と予測を促す「統計モデリング」が注目されている。既存の手法と比べた時の利点は解釈のしやすさと予測のよさの両立である。解釈がしやすいのでモデルに含まれる値を推定した後で次のアクションにつなげやすい。このため現実のデータ解析に極めて有効な手法と評価されている。背景にはコンピュータの計算速度の向上大規模のデータが入手しやすくなったことモデリングの試行錯誤を極めて簡単にする確率的プログラミング言語の進歩がある。こうした言語の中から本書ではフリーソフトであるStanを紹介する。Stanは優れたアルゴリズムを搭載し開発も急速に進んでいるパッケージであるがR用のパッケージであるRStanが並行して公開されているためRから手軽に利用することができる。Stanの記述力は高く階層モデルや状態空間モデルをわずか30行ほどで書くことができ推定計算も自動で行なわれる。さらに解析者の問題にあわせたオーダーメイドの拡張が簡単にだ。一般にベイズ統計を扱う書籍は初歩的な内容にとどまるものか難解な数式が多く実際の問題への応用が難しいものが多い。しかし本書はこれらの書籍とは一線を画し現実のデータ解析を念頭に置いて非常に実践的な内容に仕上げた。本書でStanとRを介して身につけた統計モデリングの考え方はStanの文法が変化しても他の統計モデリングツールを扱う場合にも大いに役に立つと確信している。