2006年 厚さ約7 The beauty of celadon : searching for the forbidden color 青磁は、およそ3500年前の殷代中期に生まれた“原始瓷器”と呼ばれる中国の本格的施釉陶器の直系の陶磁器です。ガラス質の釉薬の中の鉄分が、炎の還元作用により青とも緑とも呼べる微妙な色に発色する青磁は、技法が確立した後漢の紀元1世紀から、営々として焼き続けられてきました。青磁の理想の釉色は“秘色”と表現され、最も中国の人々の琴線にふれるやきものであると言うことができます。その最大の理由は独特で深みのある釉色にあり、さらにその原点は、漢民族の美意識のなかで貴金属以上の価値をもつとされた独特の石--玉(ぎょく)の色沢の再現にあったのではないかと考えられます。本展では、これを仮設として提示し、一点一点微妙に異なる青磁釉の色合い、時代を反映した器形と合わせた青磁の美の変遷を、“中国人にとっての青磁”という観点から第1の骨子として展示いたします。一方、青磁は諸外国の憧れの的になり、9世紀頃から盛んに海外に輸出されました。とくに我国では中国文化への敬意を込めて蒐集され伝世され、あるいは模倣されています。これらは“外国人にとっての中国青磁”という観点から第2の骨子として展示いたします。中国人のみならず、諸外国の人々をも魅了した青磁を鑑賞しながら、青磁の美の普遍性を追求してみたいと思います。表紙小傷程度で特に目立った傷や汚れはありません。